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2023.12.10 08:00

小社会 リサーチ

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 もう書いてもいいだろう。「昔の高知新聞社、やなせたかしさんがいた当時のことを知りたいんです。人事の記録なんかは残ってませんか」。そんな用件でNHK関係者が来社したのは9月半ば。

 4人が来た。やなせさんが戦後まもなく携わった「月刊高知」の保存紙をむさぼり読んで、「図書館にも行きます」「関係者を探しているんですけど、心当たりはないですか」。どんな企画ですか?と聞くと、代表の男性いわく―。

 「まだリサーチ中で。企画を出してもほとんど通らないし、途中で情報が漏れるとたいてい潰(つぶ)れます。なので、私たちがここに来たことも内密に」

 朝ドラ「あんぱん」をつくるとNHKが発表したのはその1カ月ほど後。「ああ!?」である。不明を恥じて告白すると、来社した4人の中に女性が1人いた。それが脚本家の中園ミホさんだったとこのときになって気づく。

 先月末、制作統括の倉崎憲さんと再会。「やられました」と少し毒づくと、あの後、地元紙の私たちも知らない関係者の所在を探し当てたという。つくるのはフィクションでも基礎となる事実は徹底して調べる。仕事へのそんな矜持(きょうじ)がある。

 それにしても、中園さんは少女時代、まだ売れる前のやなせさんと文通していたというから驚く。戦争や飢えを憎んだその夫妻を今この時代に題材にした彼らに敬意を表したい。君たちなら大丈夫。空の上からそんなエールが聞こえる。

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