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2023.12.07 08:00

小社会 横浪の道

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 早明浦ダムがことしで完成から半世紀の節目を迎えたが、同じ年生まれの高知を代表するインフラがまだある。土佐市と須崎市の沿岸部を通る横浪黒潮ライン。50年前の12月に有料道路として開通した。

 南を望めば雄大な太平洋。一転、北は箱庭のような入り江の横浪三里。絶景を誇る半島の尾根筋を20キロ近くにわたり貫く。半島の住民の不便解消とともに、一帯の観光振興が狙いだった。

 「陸の孤島からレジャー基地へ」とは、開通前の本紙。観光施設群によるばら色の未来が描かれる中で、「老人天国」構想も実現した。年金資金を使う保養基地、いわゆるグリーンピアだ。

 だが、行き着いた先は周知の通り。交通量は伸びず、グリーンピアも赤字に苦しみ、高度経済成長期の思想に基づいた計画の多くは不発に終わった。逆に人目が届きにくい特徴から、暴走族がはびこるなど新聞の社会面に載るような出来事が続いた。

 道がもたらした効果ももちろんあった。例えば、道なしに明徳義塾中高がここまで存在感を高めることはなかっただろう。ただ、黒潮ラインの半世紀の道のりは、そのくねくね道同様にスムーズだったとは言いがたい。

 整備に踏み切った当時の溝渕増巳知事は「道路は県政の顔」と掲げた。道路整備が遅れてきた土佐人には、道へのこだわりは理屈抜きの面がある。良くも悪くもその風土が今も残る中、絶景の道が「道と地域」の関係を提起する。

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