2024年 04月29日(月)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2023.12.03 08:00

小社会 政治とカネと料亭

SHARE

 元衆院議員の杉村太蔵さんが26歳の若さで当選したのは、2005年の郵政選挙だった。「料亭、行きてえ」。青年ゆえの自由奔放な言動は世の耳目を集め、すぐに「幼稚で無責任な発言」の反省、謝罪に追い込まれた。

  杉村さんは先日のテレビ番組で、自民党の武部勤幹事長(当時)に大目玉を食らった後、料亭に連れて行ってもらったと明かしていた。誰しも覚えのある若気の至りなら微笑も誘うが、「料亭デビュー」に共感はできない。

 いまの政治不信に通じるものがあるからだろう。岸田文雄首相や政務三役が代表を務める政治団体の政治資金収支報告書には、10万円を超える高額な会食代がずらり。土産や贈答品の支出もあった。

 政治活動の経費として疑問符が付く支出に加え、収入面でも不正まみれなのだろうか。自民党の5派閥が収入を過少に報告したと刑事告発された。安倍派では、パーティー券をたくさん売った議員にはご褒美で資金を「還流」。多額の裏金になった疑いまで浮上した。

 一般企業なら事務的ミスではすまない。税務署にこってりと絞られよう。物価高で1円、10円を節約する市民の目には政界の金銭感覚は浮世離れして見える。

 料亭発言から18年。「薄口政治評論家」へと転身した杉村さんが、自民党の政治資金の不透明さを批判していた。時の流れは青年の考えを変えつつ、古巣と世間の感覚のずれをさらに大きくさせたらしい。

高知のニュース 小社会

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月