2023.11.28 08:00
小社会 「未開」の県都高知市
高知新聞ウェブサイトで人気を集めるカテゴリーとして「全国チェーン店の進出」というものがある。直近の大手牛丼チェーン「松屋」出店の記事は3万を超える閲覧数を記録した。本紙ウェブでは1万超えがヒットの目安だ。7月にはディスカウント店「ドン・キホーテ」の出店計画も報じられた。こちらは8万6千回に達した。
数字が期待感を示している。確かに県外へ出た時には松屋独特のスパイシーなカレーをしばしば食べるし、商品の迷宮のようなドン・キホーテの店内探索も楽しい。
そうした記事の一方で、古くからある店の廃業を惜しむ記事も共感を集める。大手資本の進出も少なからず影響しているだろう。チェーン店の利便性を享受しながら古き良き店を失っていく。矛盾の中で私たちは暮らしている。
松屋がない県は、長崎、島根、鳥取だという。ないことによって守られている味もあるのではないか。
まだまだ高知市には未進出のチェーン店も多い。一定の都市的利便性も備えながらも、こうした「未開」を残していることをむしろ大切に、県都高知市の未来を新しいリーダーと共につくっていきたい。