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2023.11.27 08:00

【浜田知事再選】「成果」へ重くなる責任

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 1期4年の浜田県政が県民からおおむね支持されたと言えるだろう。4人で争われた高知県知事選挙は、現職の浜田省司氏が他の新人3候補に大差をつけて再選を果たした。
 だが、信任投票の性格が濃い選挙の構図であり、「消極的支持」で投じられた票もあったとみられる。投票率も過去最低の42・47%となり、県民との距離も浮かび上がった。
 浜田氏にとって、8割超の得票率は今後の県政運営の推進力になるだろうが、割り引いて捉えるべき要素もある。過信や慢心が生じてもいけない。重責をかみしめながら、謙虚に2期目に臨んでもらいたい。
 尾﨑県政の継承を掲げて船出した浜田県政だが、1期目のかなりの期間が新型コロナウイルスの流行と重なった。そのコロナ対策と、官僚経験を生かした堅実な行政手腕は一定評価され、本紙の県政世論調査でも高い満足度で推移してきた。
 4年間で政治基盤も安定した。前回、対立候補を推した立憲民主党は態度が軟化して自主投票とし、今回は、共産党が擁立した候補による野党共闘は実現しなかった。こうした現職優勢の情勢が、得票にストレートに反映されたといえる。
 ただ、有権者が県勢浮揚の取り組みを評価して投票したかといえば、疑問符がつく。確かに観光分野などでは具体的な前進はあるが、人口減少や中山間対策など本県の抱える構造的な問題に対し、「成果」と呼べるほどの実績はまだないからだ。
 この最も重要な分野ではむしろ、後退感の方が浮き彫りになった。2022年の出生数が過去最少かつ全国最少という衝撃的な結果の背景には、県の分析不足もあった。
 4年がたち県政への注文も具体化している。国と歩調を合わせた経済政策に独自性がないとの意見が出る。「共感と前進」を掲げる中、「共感」を広げるための行動力不足を指摘されたり、庁内の運営で緩さが指摘されたりすることもある。
 「浜田流」へのこだわりはあってよいが、成果を出すために必要なら改善も考えるべきだ。「コロナ対策」「仕込みの期間」を理由に1期目は成果を厳しく問われなかった。2期目はそうはいかない。
 成果を出す上では、国政との連携・協調は当然重要だ。だが、国策が県民目線とずれている時まで追随しては、政治家としての主体性を問われかねない。浜田氏は1期目、政治家としての主体性、発信力が疑問視される場面が何度かあった。
 だから本人も立ち回りを意識しているのだろうが、同日選で行われた高知市長選への介入はいかがなものか。一騎打ちの激戦の中、国政上の与野党の対立軸を殊更に市政に持ち込み、「喉元にあいくちを突きつけられた」と一方の陣営を芝居がかった言葉で批判し、一方を支援した。
 そのことによって、高知市民の多くが浜田県政と距離を取りかねない状況となり、選挙後の県市連携に影響が出るリスクも生じた。そこまでして踏み込むべきだったか。県政トップの自覚も問われる。

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