2023.11.27 08:00
小社会 五つの顔
首長には五つの顔がある、と言う。一つ目は、役所の改革を自分の考え方で進める「統治者」の顔。二つ目は、県民経済を経営するために行政が果たすべき役割を考える「経営者」の顔。
三つ目は、県民の思いをくんで情報を発信する「オピニオンリーダー」。四つ目に敵を見定め、戦い方も理解した「政治家」。五つ目は、国や地方のかたちを変えていく「運動家」の顔。
むろん、五つの顔すべてが合格点という首長は多くはあるまい。既成政治と対峙(たいじ)した橋本さんも県勢浮揚と実利を重視した尾﨑さんも、なかなかの腕前という顔も、物足りない顔もあった。塩田さんは、「県民がどこに重点を置くか、時代が知事にどんな役割を求めたかで評点は違ってくる」。
きのうの知事選で浜田省司さんが再選された。確かに、1期目はコロナ禍で守勢に回った。反転攻勢はこれからなのだろう。前任2人と比べ、発信力の弱さがいわれる浜田さんに時代が求める役割も、2期目は明確になるだろうか。
本県の出生数は昨年、過去最少かつ全国最少になった。人口減少や産業振興の課題が深刻さを増す時代に、浜田さんの「顔」が見えてくる4年を望む。