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2023.11.27 08:00

小社会 五つの顔

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 16年前の知事選は高知県政の変わり目だった。橋本大二郎さんが退き、尾﨑正直さんが立った。当時、いの町出身で政治取材が長いノンフィクション作家、塩田潮さんに地方に求められるリーダー像を取材したことがある。

 首長には五つの顔がある、と言う。一つ目は、役所の改革を自分の考え方で進める「統治者」の顔。二つ目は、県民経済を経営するために行政が果たすべき役割を考える「経営者」の顔。

 三つ目は、県民の思いをくんで情報を発信する「オピニオンリーダー」。四つ目に敵を見定め、戦い方も理解した「政治家」。五つ目は、国や地方のかたちを変えていく「運動家」の顔。

 むろん、五つの顔すべてが合格点という首長は多くはあるまい。既成政治と対峙(たいじ)した橋本さんも県勢浮揚と実利を重視した尾﨑さんも、なかなかの腕前という顔も、物足りない顔もあった。塩田さんは、「県民がどこに重点を置くか、時代が知事にどんな役割を求めたかで評点は違ってくる」。

 きのうの知事選で浜田省司さんが再選された。確かに、1期目はコロナ禍で守勢に回った。反転攻勢はこれからなのだろう。前任2人と比べ、発信力の弱さがいわれる浜田さんに時代が求める役割も、2期目は明確になるだろうか。

 本県の出生数は昨年、過去最少かつ全国最少になった。人口減少や産業振興の課題が深刻さを増す時代に、浜田さんの「顔」が見えてくる4年を望む。

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