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2023.11.23 08:00

小社会 勤労感謝の日

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 コラムニストだった故・青木雨彦が30年余り前、サラリーマンの哀歓を編んだ「会社万葉集」にこんな短歌がある。〈休日の朝おどろきて目覚めたり何といふああ勤労者われは〉野口定雄。

 休日もつい、いつもの時間に起きてしまう。何という会社人間だろう―。青木はコラムを添える。一週間の始まりを日曜とする手帳と、月曜とする手帳がある。どう考えるかで生活は変わるように思う、と。

 月曜からという人は「きのうの休みは、きょう働くためにあった」と考える。つまり、働くために休む。日曜からと考えるのは「きょうの休みは、あしたから働くためにある」と休むために働く人。どうせなら「休みの日を充実させるために、心おきなく働きたい」。

 日本人の仕事観が30年余り前から変わったかは、定かではない。かたや、ほぼ伸びていないのが平均賃金になる。昨今の悲哀は、物価高に賃上げが追いつかないことか。第一生命保険恒例の川柳コンクールで、ことしの1位は〈また値上げ 節約生活 もう音上げ〉。

 岸田政権の減税策もウケが悪い。1年限りの1人4万円なら、わずか月3千円強の物価高対策になるか。その先には防衛費増に伴う増税も見え隠れする。

 〈はたらけど/はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり/ぢつと手を見る〉石川啄木。これほど勤め人の心情に触れる短歌はないと青木は書く。そう言わせない有効策を。きょうは勤労感謝の日。

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