2023.11.21 08:00
小社会 台湾と高知
台湾観光の目当てといえば、グルメに夜市、故宮博物院あたりか。日清戦争後から太平洋戦争終戦まで日本が統治し、近代化の礎を築いたのは言わずもがな。あちこちに残る「日本」も楽しめる。
ただ、その自由な旅がいずれ難しくなるかもしれない。台湾統一への武力行使を否定しない中国。「台湾有事」の4文字が飛び交う状態が続く。先日訪台し、空気を体感してきた。
年明けに総統選を控え、島は政治色に染まっていた。中国との向き合い方を巡り与野党が火花を散らす。「自分の国は自分で守る」と備える政治家。「大陸が攻めてくるはずがない」と楽観する住民。緊張と緩和が混在し、アジア特有の活気と相まってカオス状態にあるようにも見えた。
無主の地から他国による統治、中華民国の圧政と民主化運動などを経て、「一つの中国」の枠でもがく台湾。司馬遼太郎さんは「国家とは何か」を考える上でこれほどの「一典型はない」とする(「街道をゆく 台湾紀行」)。
これから太くなるかもしれない高知と台湾のパイプ。県民が「国家」観を養うこともまた大事になってくる。