2023.11.20 08:00
小社会 高知市長選告示
誘致したのは当時の名物市長で、後に衆院議員も務めた岩國哲人さん。先月87歳で亡くなった。アイデア市長として鳴らし、樹木医制度創設などにも貢献した。新しいことに挑戦できる「地方にこそロマンがある」と唱えた人だった(共著「鄙(ひな)の論理」)。
元は米大手証券会社の副社長で、ユニークなスローガンでも知られる。「行政は最大のサービス産業だ」。当時珍しかった土・日の窓口業務を始めたのも、サービス産業なら顧客(市民)満足度を上げるのは当然という理屈だろう。
職員には「よく休み、よく働いてほしい」。民間出身者らしくめりはりをつけた、質の高い仕事を求めた。そんなトップの意気込みが最も凝縮されている言葉が「(地域から)『市役所を見習え』と言われたい」。
首長のリーダーシップにはさまざまな形があり、岩國流が全てとは思わない。ただ望まれるのは職員がいきいきと公務に励み、頼りになる行政が実現することだろう。県都なら全国に通用する成果を一つや二つ挙げるぐらいの気概も。
高知市長選が告示された。県都にふさわしい、こだわりのあるリーダーとは。同じ26日投開票の県知事選とともにあすの高知の選択である。