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2023.11.15 08:00

小社会 ネオ55年体制

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 1年ほどで首相が代わることが多かった2000年以降、岸田政権はもう安倍、小泉両政権に次ぐ長さになっている。近ごろは支持率の低迷にあえぐとはいえ、「奇妙な安定」とみる向きもある。

 近年続く自民党の1党優位。先ごろ講演を聴いた政治学者の境家史郎さんは、今の政治状況を「ネオ55年体制」と呼ぶ。憲法をめぐるイデオロギー対立の中で野党が断片化し、長きにわたって自民党が政権を握った55年体制。似たものが1周回って戻ってきたという。

 新旧の55年体制の間には、1990年代からの「改革の時代」が挟まる。民主党による政権交代も起きた。ただ、時代の争点は統治機構や経済構造の改革。自社が連立したように保革のイデオロギー対立が主ではなかった。

 元に戻したのは第2次安倍政権。集団的自衛権や憲法を積極的に争点化した。反発する民主党勢力は護憲寄りに振れていく。さらに希望の党騒動。旧民進党のリベラル系が排除され、野党は断片化、非力化した―。言われてみれば、と思うところは多かった。

 むろん、憲法のありようは重要な社会像だが、それだけではということか。世論調査で有権者の優先順位が高い課題は、社会保障や経済対策。野党がその政策を明示して争点にしてこそ、政治は活性化するのかもしれない。

 緊張感を欠いたような岸田政権の不祥事が続く。これも「ネオ」の副産物だろうか。言われてみればだが。

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