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2023.11.10 08:00

小社会 美の方舟30年

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 1年ほど前、ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルの代表作を鳥取県が3億円超で買い、話題になった。2025年春に開館する県立美術館の目玉にと手を出したのだが、「なぜ鳥取が?」「高額だ」と波紋が広がった。

 実際、両者に接点はなく唐突感は否めない。だが、名作によって館に関心が集まり、集客にもつながる。論争が結果的に県民の芸術への造詣を深めることにもなったという。

 その是非はともかく、やはり「新しい美術館」の響きは魅力的だ。実は鳥取には県立美術館がまだなく、「最後の県立美術館」になるそうだ。準備状況を調べると、後発の強みを生かす工夫がいろいろあり、県民の期待も伝わってくる。

 重なるのが1990年代初めの本県か。県立美術館の開館が決まり、巨匠シャガール作品の購入話が舞い込んだ。高額批判が出たものの大きなうねりにならなかったのは、新美術館への期待からか、あるいは知事就任間もない橋本大二郎人気ゆえか。

 あれから30年。県立美術館が節目を迎えた。「美術の方舟(はこぶね)」を自称する館は、開催中の記念展のパンフレットで「大波小波をかき分け乗り越え…」と歩みを振り返る。

 収蔵品から厳選したという作品群に浸った。開館時の高揚はもちろんもうないが、30年の積み重ねに違った感慨がわく。この蓄積の上にまた新しい展開もあることだろう。ウォーホルの存在感に負けていられない。

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