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2023.11.08 08:00

小社会 体を乗っ取られた!

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 わがことで恐縮だが、先週初めから病原体と闘う羽目になった。インフルエンザだろうと思いながら、高知市内の病院へと向かった。

 駐車場で待つ。看護師さんが車窓ごしに鼻腔(びくう)の体液を綿棒で採取し、医師からスマホに連絡が入った。「コロナがでてます」。熱冷ましを車で受け取る。ドライブスルー式の発熱外来は非常に安楽で、ここまでは人間のペースと思ったのだが…。

 すぐに主導権を握られた。熱の乱高下が始まり、節々が痛み、痛点が刻々と変わる。奴(やつ)らが暴れ回りだした。

 ウイルスの目的は自己のコピーを増やし、次世代につなぐことだ。そのために他者の細胞に侵入し、寄生して増殖する。しかしよく考えれば、奴らとて宿主を殺してしまっては元も子もない。自らを末永く増やすためには、寄生する相手を次々替えるか、安住できる相手を探すかであろう。奴らも原初の自然界にいたころは他者と共存し、折り合っていたのではなかったか。なぜ人類の前に立ち現れ、そこまで暴れるのか。

 急性の感染症をもたらすウイルスと人間との間に、折り合いの付け場は見当たらない。書棚の本にこうあった。「ヒトがウイルスを殺して回復するか、ウイルスがヒトを殺すかのどちらかである」(ジョン・S・トレゴニング著「ウイルスvsヒト」)

 完全な回復までは5日かかった。体を乗っ取られた、わが身でないような感覚を忘れてはなるまいと考えている。

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