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2023.11.07 08:00

小社会 絶対悪

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 「hibakusha(ヒバクシャ)」という表現はいまや世界で通じる言葉らしい。国連で採択され、発効した核兵器禁止条約の前文にもある。「ヒバクシャの受け入れ難い苦しみに留意する」

 わずか9字のアルファベットだが、そこから重いメッセージが伝わってくる。一つは日本人の被爆がいかに悲惨であったか。戦時下の広島・長崎だけでなく、戦後のビキニ環礁水爆実験でも被害を受けた。

 もう一つはその条約を当の被爆国日本が批准していない事実である。理由が日本の安全保障が米国の「核の傘」に依存しているから。どの国よりも核の恐ろしさを知る日本が核に依存する。なんと恐ろしい現実だろう。

 広島で被爆したカナダ在住のサーロー節子さんが訴えている。「核兵器は必要悪でなく絶対悪だ」。条約がいうヒバクシャの受け入れ難い苦しみとは被爆の体験だけだろうか。核が絶対悪と認識できない為政者がいかに多いかもあるだろう。

 まして為政者らが進行中の戦争で核の使用をちらつかせるなどもってのほかだ。イスラエルの閣僚がガザ地区への核使用の可能性に触れた。ロシアもそうだが、政治家が核攻撃を簡単に口にする時代になるとは。

 これもヒバクシャを苦しめる、もう一つの現象だろう。いやヒバクシャでなくても受け入れ難い。いかなる正義も核使用を正当化できない。核は絶対悪―。そのことは改めて確認しておきたい。

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