2023.11.04 08:00
小社会 マンモスの危機
「最終氷期」の9万年ほどの間、北半球を闊歩(かっぽ)したマンモス。温暖化で生息域が縮小し、かつては約1万1千年前に姿を消したとされていた。それが研究が進み、ロシア・シベリア沖の離島で約4千年前まで生息したことが判明している。
ついのすみかが明らかになって、絶滅の原因も絞り込まれつつあるという。それでもえさとなる植生の変化、隔離された環境による近親交配、感染症など諸説あり、真相の解明にはまだ時間がかかりそうだ。
国内最大規模を誇るこちらの「マンモス」も存続の危機といってよい。アメリカンフットボール部の薬物事件で揺れる日本大。大学側の対応を検証した第三者委員会が報告書を公表し「組織統治が機能不全」とその原因を突きつけられた。
林真理子理事長、元検事の副学長、部の指導陣がそれぞれ職責を果たさず、情報共有もままならないと指摘。責任逃れの事なかれ主義がまん延し、このままでは「再生できない」とさじを投げられた格好だ。
少子化という「氷河期」を迎え、大学は激しい競争下にある。不祥事が続く体質を改善できないなら、巨大なマンモスとはいえ自然淘汰(とうた)の波にのまれかねない。