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2023.10.31 08:28

カメムシなぜ大発生 猛暑で産卵早まったか 窓など薬剤散布、効果的【なるほど!こうち取材班 パートナー紙とともに】

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海田町のマンションの廊下に集まった「ツヤアオカメムシ」

海田町のマンションの廊下に集まった「ツヤアオカメムシ」

 「カメムシがマンションの廊下に毎日100匹以上やって来て困っている」。広島県海田町のパート女性(64)から届いた声を4日付の「こち編のたまご」で紹介した。大量に現れたのはなぜか、専門家に取材した。「猛暑で産卵のサイクルが早まった可能性がある」という。

 生態に詳しい明治大の糸山享教授(応用昆虫学)は、この夏に気温が高い日が続いたことに着目する。広島市中区の35度以上の猛暑日は16日あり平年の8・1日の2倍近かった。通常より早い成長を招き、冬を越してからのはずの産卵も早まって1世代プラスされたことで「大発生」が起きた可能性があるという。

 餌が多かったことも背景にある。女性宅に集まったのは果汁を吸う害虫である果樹カメムシの一つ「ツヤアオカメムシ」。山間部ではヒノキやスギの実である「球果」を食べる。今春は花粉がよく飛び、実も多く繁殖しやすかった。実を食べ尽くすと山を離れ、市街地の照明に引き寄せられるカメムシが出てくる。数キロ飛ぶことができ、市街地に来る可能性は十分あるという。

 これからの季節、一部のカメムシは越冬のために集団で屋内に入ろうとする。殺虫剤など製造のフマキラー(廿日市市)の開発本部基礎科学研究部部長代理で理学博士の佐々木智基さんは「窓や網戸に侵入防止効果のある薬剤を前もって散布することが効果的」と話す。(中国新聞)

▼高知では
発生平年並み 観光回復「南京虫」警戒
 高知県の害虫駆除業者らでつくる県ペストコントロール協会によると、県内のカメムシの発生は27日時点で平年並みで、今秋はまだ駆除依頼はない。会長を務める「大進」(高知市)の三宅弘晃社長は「大発生している地域に比べ、高知は夏に雨が多かったからではないか」と推測する。

 一方で「今後増えていく可能性が高い」と警戒するのがトコジラミだ。「南京虫」の名でも知られ、刺されると猛烈なかゆみが生じる。世界中の暖かい地域に生息し、現在はフランスで大発生して社会問題化している。旅行かばんなどに付着して宿泊施設や住居に持ち込まれるため、海外旅行や外国人観光客の回復に伴って全国で相談が増加中という。

 三宅会長は「県内でもちらほら相談がある。旅行先から持ち帰らないよう、ベッドの隅やシーツに赤黒い血ふんがないか確認を」と呼びかける。

 同協会は害虫に関する相談や、地域の駆除業者の紹介依頼を受け付けている。電話は088・848・2391。(竹内悠理菜)



 県民・読者とつくる調査報道企画、高知新聞「なるほど!こうち取材班」(なるこ取材班)。連携する全国のパートナー紙の記事や県内の状況を随時掲載で紹介します。

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