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2023.10.27 08:31

絵、こま運び巧みに 横山隆一まんが館 4コマまんが大賞入賞作

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 全国公募の「第19回4コマまんが大賞」の入賞作品が26日、発表された。今回は45都道府県と台湾から、一般・ジュニア部門合わせて1190人、1548点が寄せられた。漫画家の矢野徳さん、くさか里樹さんが審査を担当。巧みな絵やこま運びで、日常の笑いやドラマを印象深く描き込んだ作品などが選出された。高知市と横山隆一記念まんが館の主催。一般、ジュニア両部門の上位3賞(フクちゃん大賞、高知市長賞、やなせ兎賞)の作品と大賞受賞者のコメント、審査評を紹介する。(楠瀬慶太)








【審査評】矢野徳さん 才能ひしめく
 面白い作品が多く、さまざまな才能がひしめいているのが感じられ、頼もしくうれしくなりました。複雑で多様な発想に時代の風潮が反映され、「4こま漫画恐るべし!」と改めて思いました。

 一般部門のフクちゃん大賞「ちょっとひと休み」は、3こま目のクモのネットがインターネットの危機を暗示し、4こま目で「スマホもちょっとひと休み!」というメッセージになっている。深読みすればトンボは古語では日本のこと。作者がどれだけ意識して描いたのか分からないが、見事な作品になった。

 高知市長賞「無題」。美しく造形された画面を見続けていると、突然あることに気づかされ、何やら切なく、人生がいとおしくなる。禅問答のような作品でユニークです。

 やなせ兎賞「今度はここの砂か…」は、「ごめんなさい」と声が聞こえそうな女性のしぐさ、つれなく去って行く後ろ姿、ガックシの姿も見事。遠くの楽しげな人たちが、悲しさと孤独感を増すスパイスになっていてグー!

 ジュニア部門のフクちゃん大賞「熟す」は、桃が割れて「何だろう?」と思ったら、ハチマキをしてヒゲまで生えたオジサンがふてぶてしく横たわる姿で登場。ズコッちゃうよね! 笑えます。

 やなせ兎賞「ギトギトネーム」。4こま目の「です」の表現もすばらしい。キラキラネームの次はギトギトネームの時代かもね。こま運びが自然でリズミカルなのも見事です。

【審査評】くさか里樹さん 作品に自分らしさ
 応募作品が入ったずっしりと重い箱から、創作の熱が立ち上って見えました。不安定な社会情勢ですが、縮こまらず、自分らしいアイデアをひねり出すことを楽しんでいるようで、まんがの可能性を改めて感じました。

 一般部門のフクちゃん大賞「ちょっとひと休み」は、ダイナミックな物語を詩的に描いた絵本のようですが、「スマホ依存の子どもは、トンボ捕りには興味ないから安全」という悲しい皮肉でもあるようなないような…。深い魅力のある作品です。

 高知市長賞の「無題」は、ここまで物静かな4こままんがも珍しい。シーン…ブフフ! みたいな笑いの後に、モヤっと疑問が湧いてきます。使い切り判子? 転写? それともインクが染み出てくるニュータイプ? とにかく、面白いです。

 やなせ兎賞「今度はここの砂か…」は、元高校球児でしょうか。敗戦の砂を持ち帰り、前へ進む。痛々しくも応援せずにいられない、かわいらしい作品。

 ジュニア部門のフクちゃん大賞「熟す」は、このタイミングでおやつが桃だったらと妄想せずにはいられませんね。桃の熟し具合を見抜く目といい、完熟桃太郎を酔っぱらいに例えるところといい、普段よくものを見ている証拠ですね!

 やなせ兎賞「ギトギトネーム」。キラキラネームはみんな知ってるけど、ギトギトネームは新鮮! 「からあげ」という名前もストレートで面白い! 先生やその他大勢の描き方も上手です。

【一般部門・よさこい賞】
「救世手」岡林晃史(50)いの町
「めまいの原因」喜久山悟(61)熊本市
「正体」タイケヒデミ(56)高知市

【ジュニア部門・よさこい賞】
「けいたい落ちちゃった!」岡村侑芽(ゆめ)(10)南国市・大篠小4年
「人間食い」金辺冬花(9)香川県三木町・氷上小4年
「ヒーロー」堀江明人(10)島根県松江市・大庭小4年

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高知のニュース 高知市 まんが

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