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2023.10.15 08:33

高知新聞短歌欄が縁で再会〈グローブはもう買えたかなあの少年〉僕のことかも…新聞配達の若者と短歌投稿の女性

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本紙の短歌欄を通じて再会した西森美智さん(右)と大前郁人さん=土佐市高岡町乙

本紙の短歌欄を通じて再会した西森美智さん(右)と大前郁人さん=土佐市高岡町乙

 新聞配達に励んでいた若者と地域の読者が、本紙「高新文芸」の短歌欄をきっかけとして、久々の再会を果たした。土佐市蓮池の高校生、大前郁人さん(16)と、同市高岡町乙の西森美智さん(77)。西森さんが、新聞少年だった頃の大前さんを思って詠んだ一句が掲載され、大前さんが「お礼を言いたい」と実現した。2人は「まさかまた会えるなんて」(西森さん)「僕を覚えてくれていたなんて」(大前さん)と驚き、喜んでいる。

 大前さんは現在、高知高2年の野球部員。中学2年の春から3年の終わりまで約70軒に新聞を配っていた。

 ある夏の日の早朝、大前さんは玄関先にいた西森さんと立ち話をした。内容は「覚えてません…」と頭をかくが、西森さんは誠実そうな彼の姿と、発した言葉を鮮明に覚えていた。「野球をやっています」「お金をためてグローブを買いたいんです」

 西森さんも小学生の頃に新聞配達を経験し、ソフトボール部に所属していた高校時代はグローブを使っていた。大前さんとの境遇が重なったためか「ふと頭に浮かんだ言葉」を短歌にしたため投稿した。

 〈グローブはもう買えたかなあの少年新聞配達していたけれど〉

 作品は7月2日付本紙に掲載。翌日、知人に聞いて新聞をめくった大前さんは「僕のことかも」と直感した。かつて働いていた高知新聞高岡西販売所の大崎健所長(57)に連絡し、投稿主が西森さんと判明。自宅を訪ねて感謝を伝えることにした。

 「こんにちは」「まあ、あの時の…」。再会を喜ぶ2人。「親の負担を減らしたくて」と新聞配達をしていた理由を伝える大前さんに、西森さんは「偉いねえ」とにっこり。大前さんはその時にためたお金で買ったグローブも持参し、互いに近況を語り合った。

 西森さんは「今の時代に、若者と新聞でつながれるってすごい。一生忘れません」と感激。大前さんも「応援してくれている人がいてくれてうれしかった」と喜び、「まだ補欠ですが、早くベンチ入りして活躍する姿を見せたい」と、意気込みを新たにしていた。(谷川剛章)

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