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2023.10.07 08:00

小社会 板挟み

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 「にっちもさっちも行かぬ」の由来はそろばん用語になる。漢字で書くと「二進も三進も」。2でも3でも割り切れない。転じて、物事が行き詰まって身動きのとれないさまをいう。

 世界にはさまざまな表現がある。イタリアでは「このスープを飲むか窓から自分が飛び降りるか」。スープは毒入りなのだろう。フランスは「狼(オオカミ)の両の耳をつかむ」。これもつかんだ後、動けそうにない。英国は直接的で、「岩と難所の間で板挟み」(「世界ことわざ比較辞典」)。

 沖縄県、玉城デニー知事の苦渋に満ちた表情が報じられた。米軍普天間飛行場の辺野古移設計画。軟弱地盤の改良工事を巡り、設計変更の承認を迫る国の「指示」を事実上、拒んだ際の表情である。

 不承認については県が敗訴した。さりとて直近3回の知事選や4年前の県民投票では、県民は「辺野古ノー」の民意を示している。法に従う行政の長の立場と、民意が尊重されるべき民主主義との間で苦しむ板挟みと映った。

 軟弱地盤の存在で、計画は姿を変えている。移設完了時期は大幅に延び、総工費は1兆円近くに膨張。さらに積み上がる恐れがあるという。募る疑問。沖縄が求める対話があっていい状況にも、どうも「聞く力」を言う首相の影は薄い。

 政府は知事に代わって自ら設計変更を承認する「代執行」の手続きに入った。「聞く力」の下で「問答無用」が続く。好ましいやり方には見えない。

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