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2023.10.04 08:00

【参院補選告示へ】貴重な意思表示の機会だ

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 土佐路と阿波路の秋の政治決戦の号砲が鳴る。参院徳島・高知選挙区の補欠選挙があす告示され、22日の投開票へ選挙戦が始まる。
 ただ、もやもやとした気持ちを持ったまま迎える有権者も多いのではないか。
 補選は、元秘書への暴行が発覚した元自民党の高野光二郎氏の議員辞職に起因する。国会議員としてあるまじき行為が、送り出した県民を落胆させた。さらに、暴行の詳細や秘書の証言との矛盾点について説明がないまま公の場から姿を消した。
 高野氏を擁立し、公認し続けてきた党組織の対応も含めて、政治への信頼が損なわれたまま突発の短期決戦に突入する。ムードが高まる状況とは決して言えない。
 だが、国政に民意を示す貴重な機会であることに変わりはない。構図は実質的に与野党対決の様相を呈しており、同じ投開票日の衆院長崎4区補選とともに、その勝敗は岸田文雄首相の政権運営や衆院解散戦略に影響する。有権者は重みを自覚し、大切な権利を行使したい。
 選挙戦は、発足2年を迎えた岸田政権への評価を基本的な対立軸に、地域性が加味される形になろう。
 昨夏の参院選は、岸田首相は論争や対立を避けて安全運転に徹し、自民が大勝した。その後、歴史的な政策転換を次々と進め、安全保障分野では「専守防衛」を逸脱しかねない反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有や防衛費大幅増、増税方針を決定。エネルギー政策では、原発の運転期間延長と新増設にかじを切った。
 首相は必要性を強調し、実績としてアピールするが、ともに賛否を二分する問題でありながら十分な国会論戦や国民的議論を経なかった。安倍晋三元首相の国葬を巡っても議論を欠き、分断を招いた。そうした政治姿勢・手法が焦点となる。
 「異次元」を掲げる少子化対策やウクライナ支援、5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)など外交活動も評価対象になる。岸田政権は現在、マイナンバーカードの混乱や物価高対応、不祥事などで支持率が伸び悩み、内閣改造と経済対策などで浮揚を図ろうとしている。
 野党勢は、こうした政権運営を批判し、「政治に緊張感を」などと訴えている。
 地元事情を考慮すれば、高野氏の不祥事だけに自民に逆風があるかもしれない。与野党両陣営とも「政治への信頼を取り戻す」と口をそろえる中、主張の説得力や具体性が問われる。人口減少が進む地方の将来像でも、熱のある論戦を求めたい。
 合区選挙は今回で4回目となり、改めて弊害が浮かび上がっている。
 与野党対決を繰り広げる2陣営は高知を地盤とし、徳島県になじみはない。徳島での選挙に対する関心の低さは世論調査からも明らかで、合区選挙で続いている低投票率傾向が一層進む懸念が増す。
 予定候補からも、選挙区の広さや文化の違いなどに苦しむ声が上がる。合区解消の動きを加速させていく必要がある。

高知のニュース 社説 2023参院補選 高知/徳島

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