2024年 05月04日(土)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

2023.10.01 08:00

小社会 配信実態調査

SHARE

 農奴、などという言葉はすっかり忘れていた。ヨーロッパ封建時代、領主に隷属し、厳しい環境に置かれ続けた人々のことだ。

 「少数の支配者と多数の農奴が生きる世界」。現代のデジタル社会もそうだと米ビジネス界の論客、スコット・ギャロウェイ氏は言う。一握りの巨大IT企業がインターネット上の土地を領主のように支配。多くの企業がそこに隷属的に素材を供給させられている、と。

 先頃、公正取引委員会が「ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査」なる報告書を出した。多様なニュースに触れられるプラットフォームを運営するIT企業と各種メディアの関係を分析した。

 デジタル時代に遅れまいと、報道機関もグーグルやヤフーなどに記事を提供している。しかし、ある記事が千回読まれても、それで報道機関が得る対価は平均124円。取材コストなどとても賄えない。

 IT企業と各メディアの契約は個々の守秘義務もありブラックボックス状態。今回の調査で初めて分かったことも多い。ネット上の運搬手段を握る優越的地位を利用し、巨大IT企業が不当な取引を強いているなら、独占禁止法に触れる。報告書は当局からの警告の色合いも帯びる。

 報道機関が衰退し、民主主義に不可欠なニュースを市民が得られなくなれば、世の中がおかしくなる―という公取委の認識が前提にある。購読料を払って報道を支えてくれている皆さんに深謝します。

高知のニュース 小社会

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月