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2023.09.20 08:00

小社会 万太郎から富太郎へ

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 まだまだ真夏の暑さの中にあって、秋の気配を探っているかのような日々である。春から始まった「らんまん」の放送も9月29日で終わってしまう。主人公・万太郎の青壮年期の春から夏、そして人生の終盤に至る秋へと物語は進んだ。

 先ごろ朝ドラのバトンタッチも行われた。神木隆之介さんと浜辺美波さんから、次のヒロインである趣里さんへ。次回「ブギウギ」は「東京ブギウギ」のヒットなどで知られる笠置シヅ子をモデルにしたドラマである。

 バトンなんか渡さなくてもいいよ。などと番組宣伝のための恒例行事に毒づいてみたくなるが、まあそうもいかない。それにしても今年の秋はいつに増してもの寂しくもなりそうだ。そんな気持ちになる朝ドラは初めてのこと。

 こんなふうに考えてみればどうだろうか。バトンは槙野万太郎から牧野富太郎に渡された。ドラマの中で万太郎が東大を辞める決意をしたのは、人間の欲望と都合によって破壊される森と植物を守るためであった。

 連日たくさんの人でにぎわっている牧野植物園で聞こえてくるのは「らんまん」の言葉とともに「ヤマトグサ」「ヤッコソウ」「バイカオウレン」といった草花の名前だ。植物のドラマは終わらない。終わらせてはいけない。

 バトンに博士の思いを刻印しよう。〈植物に感謝しなさい。植物がなければ人間は生きられません。植物を愛すれば、世界中から争いがなくなるでしょう〉

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