2023.09.18 08:00
小社会 敬老の日
客席には子や孫らがたくさん応援に駆け付け、会場はさながら、じいじやばあばの発表会。舞台からは演奏や歌を心から満喫しているのが伝わってきた。70代、80代も輝いて見えた。
もう一つ刺激を受けたのは、年季の入った腕前の人たちの中に、「六十の手習い」のごとく、始めて間もない人も交じっていたことだ。楽器を習っておけばよかったと後悔したことが何度かあるが、いくつになっても始められると教えられた気がする。
「年を取ったことですごく身軽になった。大げさではなく、自分は世界の最先端に立っているという気持ちでいます」。55歳から小説講座に通い始め、2018年、63歳の時に芥川賞を受賞した若竹千佐子さんが本紙記事で語っている。
年齢とともに家庭や仕事が一段落し、同じような心境にある方も少なくないのでは。年を取ったからこそ挑戦できる生き方がある。続けられる仕事や趣味もある。
継続の極意は「他者の評価とは関係なく、自由に楽しく」「最終的な目標は、生まれてきた自分を愛せるようになること」だと若竹さん。きょうは「敬老の日」。子や孫がいつもじいじやばあばに憧れ、拍手を送り続ける社会でありたい。