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2023.09.18 08:00

【県産食料品輸出】商機生かしさらに拡大を

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 高知県産食料品の2022年の輸出額は、前年より22・1%増えて22億9600万円となり、初めて20億円を超えた。輸出額は右肩上がりで推移しており、10年前と比べて約10倍の水準となった。
 国内の市場が人口減少で縮む中、海外に活路を見いだす重要性は言うまでもない。国や県も政策的に後押ししている。国際情勢や為替など不安定要素もあるが、的確に商機をつかみ、着実に拡大を図って、地域経済の浮揚につなげたい。
 高知県では、生産量全国トップのユズ、さらに日本酒、水産物が輸出品目の3本柱となる。
 22年はユズが大幅に伸びた。スイーツ用素材として浸透するフランスや中国からの引き合いが強まる中、新型コロナウイルス禍による需要減で抱えていた在庫を出しきる格好となり、輸出額は1・7倍の約7億4千万円に上った。東南アジアなどでも認知度が上がっており、さらに市場拡大が見込めるという。
 全体の出荷額から言えば輸出のウエートはなお小さく、ユズ産業の商戦はやはり国内がメインだろう。ただ、海外需要の伸びはブランド化効果も含めて単価に反映される可能性がある。表年と裏年があって在庫リスクも抱えるだけに、出荷先の選択肢も多いに越したことはない。それらで経営環境が安定すれば、担い手や作付けの増加も期待できる。
 海外向けは農薬使用などで厳しい条件が求められ、増産は容易でないが、県産は風味などの面で他産地より競争力があるとされる。引き続き県全体で生産、販売戦略を練り込んでいくことが求められる。
 日本酒も22年は25・2%伸び、6億4100万円となった。
 海外の和食ブームなどで日本酒需要が強まっており、本県酒造会社も商品開発やプロモーションに力を入れている。その成果が出ているようだ。酒米の確保や増産体制の整備、衛生管理の強化など課題に対応し、より実績を上げていきたい。
 一方、水産物は厳しい状況にある。県内漁協や加工業者らが16年ごろから精力的に販路開拓、設備投資に取り組み、コロナ禍前の輸出はユズに迫るほど急伸していたが、主要な輸出国である中国の行動制限や検疫強化によって、21、22年とも前年を下回った。
 さらに、8月に始まった東京電力福島第1原発処理水の放出で、中国は日本の水産物の輸入を停止した。国内外を問わず新しい販路の開拓を迫られており、政府とともに県の支援態勢も問われる。
 農林水産物の輸出拡大を巡って、政府は20年に実行戦略を策定。牛肉やブリ、日本酒などを重点品目に指定し、輸出向けの生産を行う「輸出産地」を支援している。その中には本県のユズ、日本酒、茶、グロリオサ、イチゴなども含まれている。
 ただ、1次産品は工業製品より単価が安い場合が多く、鮮度も問われるため、輸出に適した品目が限られるのが実情だ。新しい有望品目の発掘も本県の課題だと言える。

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