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2023.09.15 08:00

【露朝首脳会談】軍事連携は緊張を高める

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 ロシアと北朝鮮の軍事連携強化は国際社会の緊張を高める。国際秩序を乱し、東アジア地域を不安定化させる強圧的姿勢は認められない。
 ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記が会談した。会談は4年半ぶりで、両首脳は相互信頼の強さを見せつけるように緊密ぶりを示した。
 ウクライナ侵攻が長期化しているロシアは、武器や弾薬の不足が伝えられる。北朝鮮がそれらを提供する協議が続いていたようだ。核開発をやめない北朝鮮は、見返りに軍事技術供与への期待がある。軍事力の強化は互いの利益に合致するため、協力が進む可能性が指摘された。
 プーチン氏は北朝鮮との軍事技術協力に展望があるとして、連携強化に意欲を示した。金氏は「ロシアの全ての措置を無条件で支持してきた。今後も共にある」と述べ、対ロ関係を新段階に引き上げると強調した。北朝鮮メディアは、安全保障分野の重大な問題を話し合い、満足できる合意と見解の一致に達したと報じた。警戒感が高まる。
 今回の会談場所に選ばれたのはロシア極東の宇宙基地だった。北朝鮮がロケット技術に関心を寄せていることが理由とされる。
 北朝鮮からは対米交渉の専門家のほか、核弾頭や弾道ミサイルなどの開発担当者、打ち上げ失敗が続く軍事偵察衛星開発の責任者とみられる人物が随行した。また軍序列の高位者らも加わった。
 核・ミサイル開発に自信を深める北朝鮮が、ミサイル技術をさらに高める方策を探っていることは間違いない。新たな軍事技術の入手は対米政策にも関係してくる。
 ロシアに武器が渡ればウクライナ攻撃の激化は必至だ。また、兵器技術が北朝鮮に移転すると日本の安全保障への影響はもちろん、東アジアの安保環境は一段と厳しくなる。両国の軍事連携は極めて危うい。
 北朝鮮は首脳会談の直前にミサイルを発射した。最高指導者が国外にいる状況下での発射は初めてとされる。軍事態勢を誇示するとともに、金氏が軍を掌握していることを印象づける思惑がありそうだ。
 米政府は追加制裁を科す方針を打ち出している。ただ、これまでも各国が制裁を行ってきたが、抜け道が作られて十分には機能しない側面もあった。国連の安全保障理事会は、拒否権を持つ中ロが北朝鮮を擁護して機能不全に陥っている。有効な対策が取りにくい状況だ。
 ただ、北朝鮮の核・ミサイル開発を理由にした安保理の制裁決議は、北朝鮮による武器輸出を全面的に禁じている。常任理事国であるロシアが制裁破りをするのであれば、その地位にとどまる資格はない。
 ロ朝の接近に対し、関係が近い中国は意思疎通を図っているとしながらも距離を置いているように見える。自国経済の変調もあり、その立ち位置を探っているのかもしれない。状況の改善へ積極的な関与は期待できないにしても、ロ朝の行き過ぎた関係は看過できないはずだ。

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