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2023.09.10 08:00

小社会 道しるべ

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 なぜ企業が文化に貢献するべきなのか―。先日亡くなった資生堂の元トップ福原義春さんは、これに明確な答えを持つ経営者だった。

 企業は経済活動のため環境に負荷を与え、資源を消費する。文化を支える人材を労働力として収奪する。「だからこそ、文化で次世代に還元することに意味がある」(著書「道しるべをさがして」)

 バブル期からバブル崩壊後にかけ、資生堂が世界的な化粧品メーカーになる基礎を築いた。同時に芸術文化の支援活動に尽くし、企業メセナを進めた。日本の企業が利益至上主義に陥り、その反省に立った時代でもある。福原さんにとってメセナは、新時代への道しるべだったのだろう。

 企業のあるべき姿は進化し、いまでは「持続可能な開発目標(SDGs)」への貢献が求められている。気候や環境への配慮はもちろん、人権や働きがいなども問われる。それを考えると、中古車販売大手ビッグモーターを巡る騒動はいかに時代錯誤の経営だったかが分かる。

 保険金不正請求に過酷なノルマやパワハラ、店舗前で街路樹が枯れる問題も。さらに保険大手の損害保険ジャパンは、不正請求の可能性を認識しながら取引の再開を決めていたとして、社長の辞任を発表した。

 福原さんは「『会社』の二文字を逆にすれば『社会』となる」とも指摘した。会社と社会は表裏一体。経営者はどちらにも恥じない道を―とのメッセージだろう。

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