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2023.09.08 08:00

小社会 中山間の伸びしろ

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 よそ者だから言えること、よそ者でしか言えないことがある。人口問題に詳しい都内シンクタンクの研究員、天野馨南子(かなこ)さんに、高知県の中山間対策を聞いた先日のインタビュー記事。なかなか強烈な一言があった。

 疲弊する農山漁村。記者が「地域に諦めがある」と問うと、返ってきたのは「効果的な対策をやってないのだから、伸びしろの塊だ」。

 対策をしていない? いや、むしろ本県は独自の集落活動センターなど、人とお金を投じてきた。前知事なら顔が真っ赤になりそうな指摘だが、天野さんが言いたかったのは、女性雇用が少子化対策につながるデータがあり、それに基づいた施策の重要性。悪意はあるまい。

 県も県で言い返せない現実がある。昨年の出生数は初めて4千人を割り全国最少だった。対照的なのは鳥取県。「子育て王国」を名乗って十余年、先進的な取り組みを続け、全国で唯一、増加した。条件が似た両県の明暗の訳を行政のみに求めるわけではないが、どうしても見比べてしまう。

 県が先ごろ、新しい中山間対策の柱とする再興ビジョンの目標を発表した。10年後に「年間移住5千人」などを掲げ、よく言えば野心的、悪く言えば大風呂敷と映る。高い目標は成果へのこだわりだと信じたい。

 それにしても、天野さんの言う通り、行政の対策がずれたことが今の中山間の伸びしろであるのなら…。嘆くべきか、喜ぶべきか迷う話である。

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