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2023.09.04 08:00

小社会 ラグビーとオムレツ

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 西洋には「卵を割らずにオムレツは作れぬ」ということわざがあるようだ。何かを得るには、相応のリスクを負うという意味。日本でいえば「虎穴に入らずんば虎子を得ず」あたりか。

 4年前、ラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会で日本代表は初めて世界の8強に進んだ。猛練習で体力と互いの信頼を培った。誰もが「人生で一番厳しい」と嘆いたのが宮崎合宿。大会中にその映像を見て、結束を確かめた話もある。

 先ごろ宮崎県ラグビー協会副会長、山口雅博さんの講演を当地で聴いた。代表合宿を長年支える山口さんは、ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフさんとも親しい間柄。あまりの過酷な練習に「やりすぎたらけがをするよ」と苦言を呈すと、冒頭の言葉が返ってきた。

 8強を懸けたスコットランド戦。その前夜、ジョセフさんからメールが届く。「こんばんは、マサ。もうすぐオムレツできます」。山口さんは涙を流したという。むろん、世界の頂点と戦う指揮官と選手たちが信頼と理解の上で割った卵だったろう。

 W杯フランス大会が今週8日に開幕する。8強を超える成績を目指す日本代表は、ことしの実戦で振るわない。世界は甘くない。ただ、野球、バスケットボールと「漫画のような勝ち方」をする若い世代の代表を見ていると、にわかファンの勝手な期待も膨らむ。

 「ワンチーム」の感動から4年。今度のオムレツはどんな味だろう。

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