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2023.08.29 08:00

小社会 みんなの節電生活

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 初めて土鍋で米を炊いた。ガスを中火にして、ぐつぐつ。すぐにふたの小穴から水蒸気が噴き始める。やわらかな香りがする。確かにうまそうだ。

 木村俊雄さんの近刊「みんなの節電生活」が土鍋の炊飯を勧めていて、試してみた。味のよさに加え、「電気代の節約」になるという。「電気釜で炊くコストより4割ほど安い」。

 日本人が忘れている心。それは「節電だ」と木村さん。そして長年の知見と哲学から、こう説く。「電気には、電気にしかできないことをお願いしよう」。

 お願いするべき筆頭は照明。液晶テレビ、パソコン…。炎暑の夏は無論、冷房も使おう。これらは電気の特性を生かす器具だ。一方、電気釜はどうか。便利ではあるが、熱エネルギーへの変換が必要で、電気の得意技ではない。

 沸きたつ土鍋を見て考える。この水蒸気でタービンを回し、発電したと仮定する。生まれた電気を再び熱に戻し、また土鍋を沸かす…いかにも無駄だ。発電所で熱の大半は海へ排水で流されて、家庭に届くまでに65%が失われるのに、再び熱に戻すのは「膨大なエネルギーのロス」。ガスや、薪(まき)のじか火炊きなら、そうしたロスはない。

 木村さんは元東京電力社員。福島第1原発の鍋ならぬ原子炉の操作担当者で、長年「釜炊き」をしていたプロ中のプロだ。いまは高知県西部に居住し、自家用の太陽光発電のみで暮らす。「電気を熱に戻すのはタブー」と熱く記す。

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