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2023.08.24 08:00

小社会 処暑に

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 ツクツクボウシの声が聞こえるようになった。子どもの頃、虫捕りに夢中になった方は共感してくださるだろう。ツクツクボウシは捕まえるのがそれは難しいセミだった。

 独特の節で鳴くので居場所はすぐ分かる。ところがこちらの動きを素早く察知するのか、網を伸ばそうとすると逃げてしまう。どちらがうわてかを勝負する、夏休みが終わる頃の遊び相手だった。

 夏目漱石の「吾輩は猫である」にもある。「油蝉(あぶらぜみ)はしつこくて行かん。みんみんは横風(おうふう)で困る。只(ただ)取つて面白いのはおしいつくつくである」。ツクツクボウシの声は昔から「おしいつくつく」とも表現された。

 きのうは二十四節気の一つ、処暑だった。暑さが収まり始める頃をいう。須崎市ではメジカの新子の水揚げも始まったようだ。残暑にはまだ気が抜けないが、少しずつ秋の気配が漂い始めた。

 一方で、季節が変わっても収まりそうにないのが物価の高騰だ。この秋も多くの食品や日用品の値上げが予定されている。いかにお得に買い物をするか、知恵の出しどころだろう。売り手もお客の買い控えを招かないよう、あの手この手で勝負する。

 賃上げ機運が高まってきたが、家計の厳しさは変わらない。コロナ禍で所得格差が過去最大水準になったとの調査結果も現実を表す。せめて秋が旬の食材ぐらいは気兼ねなく買い求めたいのだが…。そうだ、ことしはサンマを口にできるだろうか。 

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