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2023.08.23 08:00

小社会 変わりゆく夏

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 野球の早慶戦は1903(明治36)年、一通の挑戦状から始まった。〈御教示にあづかり以(もっ)て大に学ぶ所あらば…〉。先に野球部ができていた慶応に、早稲田側が試合を請う形だった。

 両校の対抗心は過熱していく。3年後の秋には、先勝した慶応の応援団が大隈重信邸の前で「慶応、万歳!」。2戦目に雪辱した早稲田側も、報復とばかりに福沢諭吉邸前で万歳を三唱した。不測の事態を恐れ、3戦目は中止。早慶戦はそれから20年近く中断される(菊谷匡祐著「早慶戦の百年」)。

 学生野球の黎明(れいめい)期から出てくる両校の名前は、高校球界でもおなじみだ。系列の早実高といえば、王貞治さんや荒木大輔さんらの顔が浮かぶ。慶応も今夏の甲子園は103年ぶりの決勝進出と聞くと、やはり歴史の長さを思う。

 その甲子園にも時代を感じる風景がある。8強のうち慶応を含む3校は、選手が「非丸刈り」だった。日本高野連の全国調査では、頭髪は丸刈りと決めている野球部はわずか26%。少子化に加えて野球離れの一因になっているとすれば、自然な流れなのかもしれない。

 酷暑対策も進む。試合の中盤に水分を補い、体を冷やす「クーリングタイム」ができた。ただ、再開後にけいれんなど変調を来す選手も。地球沸騰の時代。まだまだ改善の余地はあるのだろう。

 変わりゆく夏は歴史ある「陸の王者」と「昨夏の王者」仙台育英の決勝戦になった。好勝負を楽しみたい。

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