2024年 05月04日(土)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

2023.07.28 08:00

小社会 70年の日

SHARE

 ソウルから北西へ車で1時間ほど。軍事境界線付近に北朝鮮側の農村や川を眺望できる烏頭山統一展望台がある。ちょうど夏に訪れたことがある。

 麓では、ソウルを流れる漢江(ハンガン)と、北朝鮮から流れてくる臨津江(イムジンガン)が合流。一つの川になって黄海へと向かう。まさに南北統一を象徴する地になっている。そんな光景に旅行仲間が口ずさんだのがあの曲だった。

 ♪イムジン河水清く とうとうと流る―。1968年、日本人バンド「ザ・フォーク・クルセダーズ」が歌った「イムジン河」。もともとは北朝鮮で作られ、朝鮮戦争で分断された「南」の故郷を「北」から思いはせた曲という。

 ♪だれが祖国を分けてしまったの―。確かに展望台に立つと口ずさみたくなる。二つの国はこんなにも近いのに、決して近づくことができない。歌詞の2~3番はエッセイストの松山猛さんが若い頃に創作した。当時この曲が話題になったいきさつは井筒和幸監督の映画「パッチギ!」にも描かれている。

 映画は、同じ民族が戦わなければならなかった朝鮮戦争の悲劇や世界の国境を変更しようとする当時の米中ソの覇権争いにも触れている。日本も「この川で線引かれたら、どうする?」。橋の上で日本の青年が自問する場面は印象的だった。

 朝鮮戦争の休戦協定から70年だったきのう、深いため息が出た。南北の分断も、大国による世界での線引き圧力も何ら変わっていない。

高知のニュース 小社会

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月