2023.07.31 12:00
子育て世帯に新しい働き方を 高知市に子連れOKのコワーキングスペース スキル・収入アップ目指す場に―EINEE高知
子育て世帯の新しい働き方を目指し、子ども連れOKの「コワーキングスペース」がオープンします(写真はいずれも高知市中須賀町)
■あと5万増えたら、生活できるのに…
GIFTは2011年に活動をスタート。「夢を咲かせる応援団」を掲げ、子ども食堂や不登校の子どものための居場所づくり、夏休みのイベントなど、子どもを対象にした事業などを手掛けています。
NPO法人「GIFT」の公文清水さん(左)と真鍋大輔さん。子育て支援事業に携わっています
GIFTの事務局長で、ひとり親家庭支援センターのセンター長も務める公文清水さん(48)は、相談業務を通して、仕事と育児の両立の難しさを感じています。
「ひとり親家庭の悩みの根底に『収入が少ない』があります。特にお母さん方から、『毎月の収入があと5万増えたら、生活できる』という声をよく聞きます。ひとり親世帯に限らず、子どもが小さいうちは正規雇用が難しく、収入も待遇も不安定です」
デジタルスキルの習得で、収入アップを目指します
■「パソコン未経験」から、就職を決めた!
ひとり親家庭の悩みに応えるため、GIFTでは2022年、高知市のIT企業「SHIFT PLUS(シフトプラス)」と連携し、全6回の「デジタル人材育成プログラム」を初めて行いました。
デジタルワークに注目したきっかけは、IT業界でこれから予想される人材不足。デジタルスキルの習得による収入アップや、テレワークなど子育てと両立させた働き方が選択しやすい点も考慮しました。
プログラムでは、パソコンの初心者向けに基本操作から指導。パソコン、Wi-Fiを無料で貸し出し、子どもと一緒に参加できるように託児も設けました。
子どもが遊べるスペースも用意。奥の作業机は押し入れを再利用しました
スキルアップと仲間づくり。プログラムで得た手応えを深め、子育て世帯全体に広げていく取り組みが、今回の「コワーキングスペース」です。
■子育てを理由に、諦めなくていいように
コワーキングスペースとは「共同で働く場所」という意味。職種や所属が異なる人々が働く場所は県内にも増えていますが、「子連れではなかなか利用しにくいのでは」と真鍋さん。子育て世帯専用の珍しいコワーキングスペースとしてオープンさせます。
コワーキングスペースはJR旭駅近くに開設。2025年春には立ち退きが決まっています
建物内はリノベーションが始まり、一人でパソコン作業ができる机や、打ち合わせスペースなどが設けられました。畳敷きの部屋には、子どもが遊べるスペースも用意。週1~2回の託児の日には、食事も提供する予定です。
パソコンを貸し出し、共有スペースではスキルアップ講座やキャリア相談を定期的に実施。デジタルワークの求人コーナーを設け、立ち寄った人がその場で仕事をして収入を得られる仕組みをつくります。
「子どもが小さいから諦める」をなくしていきたい、と意気込んでいます
コロナ禍で在宅ワークが進むなど、働き方が大きく変わった今、さらに「新しい働き方」を追求する「子連れOKのコワーキングスペース」。2025年以降は、新たな場所での展開を目指しています。GIFTのメンバーは「子育て中の親が笑顔でいられるように、子育て世帯のニーズを拾い、実現させていきたい」と意気込んでいます。(門田朋三)
コワーキングスペースは9月にオープン予定です。運営費用などをまかなうクラウドファンディングの目標額は500万円。9月15日まで募っています。
詳しくはこちら