「がっこうかっぱの生まれた日」

2023.08.11 05:00

「がっこうかっぱの生まれた日」

高知新聞社

かっぱのコケマルと戦争(せんそう)を考(かんが)える
　おれはかっぱ。かっぱはとても長生(ながい)きで、100才(さい)をすぎて一人前(いちにんまえ)になったおれは小(ちい)さな池(いけ)にすみはじめた。人間(にんげん)の子(こ)どもがよく遊(あそ)びに来(き)た。ある日(ひ)池(いけ)へ飛(と)びこんで来(き)たのが、ちよだ。

　ちよはそかいしてきていて、いじめられ、池(いけ)へ投(な)げこまれた靴(くつ)を取(と)ろうとしたのだ。そかいというのは戦争(せんそう)でばくだんがおとされる町(まち)から、子(こ)どもだけ逃(に)げてくることだと、ちよは教(おし)えてくれた。ちよは名前(なまえ)の無(な)かったおれにコケマルと名前(なまえ)をつけてくれ、学校(がっこう)のことなんか話(はな)してくれて笑(わら)っていた。でも、ちよはばくだんで親(おや)や弟(おとうと)がいなくなり、どこかへもらわれていった。

　おれは怒(おこ)った。大人(おとな)の人間(にんげん)はきらいだ。戦争(せんそう)をして子(こ)どもを苦(くる)しめるから。おれは胸(むね)がつぶれそうになり長(なが)く長(なが)く眠(ねむ)った。

　５０年(ねん)くらいたって、ついに、おれを起(お)こす声(こえ)がした。先生(せんせい)とよばれる女(おんな)の人(ひと)が「コケマル」とよびかけてきたんだ。（ＮＰＯ法人(ほうじん)高知(こうち)こどもの図書館(としょかん)　弘()末()民代()）

「がっこうかっぱの生まれた日」　山本悦子／作　市居みか／絵　童心社　小学校低学年以上

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