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2023.07.23 08:00

小社会 もう一人の金太郎

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 「生存確認の意味を込めてお便りしました」。過日、そんな手紙が届いた。「らんまん」を見ては土佐弁を懐かしく聞いています、ともある。住所は神奈川県の足柄上郡山北町。足柄といえば、あの「足柄山の金太郎」の里だ。

 差出人は坂巻陽平さん、35歳。2年半前まで弊社の記者だった。いろんな人に会い、いろいろ知るうち「山をなんとかしないとだめじゃないか」と思い至り、会社を休職。県西部の山で林業を学び始めた。今は退社し、故郷に近い山で働く。

 手紙と一緒に「国民と森林」という業界の冊子が送られてきた。ペンをチェーンソーに持ち替えた暮らしのなかで感じていることをつづっている。「(山は)国民の生活や認識から遠い存在に追いやられている」

 きつくて危険な仕事なのに、林業従事者の収入は全産業平均よりずっと低い。山の再生のため全国に配られている年500億円の税金のほぼ半分は使われないまま…。なぜそうなるの? 彼は「ヤマモリジャーナル」というブログをつくり、森でのこと、林野行政への疑問などをこつこつ書き連ねている。

 朝5時に起き、弁当を作り、仲間とラジオ体操。下草を刈り、シカから守る柵を張り、作業道を造り…。生活は苦しいが、「自分で言いだしたことですから」。

 作業する山の西側に富士山がきれいに見えるそうだ。青年期に高知で学んだ「もう一人の金太郎」が足柄の里で汗水たらしている。

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