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2023.07.01 08:00

小社会 明星の7月

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 春ごろから、仕事を終えた帰り道に、ちょっとした楽しみを覚えている。西の空にひときわ明るく輝く星が見え、疲れた体を癒やしてくれるからだ。「宵の明星」、金星である。

 太陽、月に次いで明るい星という。「金」の字が当てられ、英語名は美と愛の女神と同じ「ビーナス」。古くから特別視されてきたのが分かる。地球の隣にあり、大きさも似るので、環境も似通っているのではと考えられた時代があったようだ。

 ところが女神もびっくりだろう。1960年代からの宇宙観測の進展で、とんでもない事実が判明する。金星を覆う分厚い雲は濃硫酸だった。地表は90気圧にも達し、深海のような過酷な環境と分かった。

 地表は灼熱(しゃくねつ)地獄でもあり、気温は400度を超える。大気のほとんどを占める二酸化炭素が「温室効果」を引き起こし、しかもそれが「暴走してしまっている」状態らしい(渡部潤一、渡部好恵著「最新 惑星入門」)。

 もしや、金星は地球の成れの果ての姿なのか。科学者の関心が高まる中、米欧などが複数の探査計画を進めている。日本の探査機「あかつき」の成果も参考に、金星の秘密に迫るようだ。

 こよい、西の空で金星が火星と接近する。7日の七夕には最も明るくなり、マイナス4・7等になるとか。天候は怪しいが、異常な雨にも温暖化の影響が指摘される昨今。明星のショーに癒やされつつ、地球の未来も考えたい7月である。

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