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2023.07.01 08:00

【災害の季節】大雨と猛暑に十分備えを

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 7月に入った。1年で最も自然災害に遭いやすい季節を迎えたといっていいだろう。
 しかも、被害は近年、深刻さを増している。ことしも気を緩めず備えていきたい。
 まず懸念されるのは梅雨末期の豪雨だ。近年はほぼ毎年、西日本を中心に集中豪雨が発生。川の氾濫や土砂崩れで犠牲者が出たり、大規模な浸水や堤防、道路などの損壊が起きたりしている。
 暑さにも警戒が怠れない。いまや夏の酷暑は災害であり、最高気温が35度以上になる猛暑日や、最低気温が25度以上の熱帯夜が続く。蒸し暑い梅雨の間はもちろん、気温がさらに上昇する梅雨明け後も熱中症対策に高い意識が求められる。
 8~9月は台風の襲来も増える。近年は海水温の高さから、台風が勢力を維持したまま、日本列島を北上する場合が多い。
 気象庁は先月、7~9月の3カ月予報を発表した。それによると、西日本の降水量は「平年並みか多い見込み」で、平均気温は「高い見込み」という。
 地球温暖化に加え、この夏は南米ペルー沖の海水温が上がるエルニーニョ現象が4年ぶりに発生。気象庁は「全球で大気全体の温度が高く、特に北半球の亜熱帯域では顕著に高い」と予測する。
 世界気象機関(WMO)も、今後5年間で世界が記録的な暑さになる恐れがあると警告している。
 エルニーニョが起きると、世界中で異常気象が発生しやすくなる。日本では夏の気温が低くなり、西日本の日本海側で降水量が多くなる傾向があるという。
 ところが気象庁は、この夏は2月まで続いたラニーニャ現象の影響が残るなどして、日本の気温は高くなると見込む。
 ラニーニャはエルニーニョとは逆にペルー沖の海水温が下がる。日本では夏場、太平洋高気圧の張り出しが強くなる傾向がある。
 こうした複雑な気象環境からも、この夏は例年以上に災害への警戒が要りそうだ。いまのうちにハザードマップや避難場所の確認のほか、エアコンの点検なども欠かせない。
 地震と違って雨量や気温は事前にある程度予測でき、発表もされる。毎日、気象情報を確認し、速報や避難情報もすぐに入手できるようにしておこう。
 幸い予報技術が年々進歩している。気象庁は昨年、豪雨をもたらす線状降水帯の「半日前予測」を開始。線状降水帯の発生を伝える「顕著な大雨に関する気象情報」もことし5月から、最大30分早く発表するようにした。
 台風の進路予報の精度も上がり、先月下旬から、進路の予報円を従来より絞り込んで発表できるようになった。例えば5日先の予報円の半径は最大40%小さくなるという。
 事前の準備と情報の活用によって犠牲者のいない夏にしたい。もちろん、気象庁や自治体などには緊張感ある防災対応が求められる。

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