2023.06.30 08:35
牧野富太郎博士の直筆年賀状 東大近くの薬局に今も 先々代が交流
牧野富太郎博士から届いた年賀状を手にする雨宮洋子さん(東京都文京区)
薬局は1870年創立。 5代目の戸田哲司さん(52)によると場所柄、文化人との交流も多く、森鷗外や平塚らいてう、川端康成らも顧客だった。
3代目の浅野さんは1934年に薬剤師となり、店を継いだ。牧野博士は39年に77歳で辞任するまで東大の講師を務めており、浅野さんの長女、雨宮洋子さん(79)=文京区=によると、薬学部の研究室に出入りする中で2人の交流が始まったという。
店に残るのは55、56年に届いた2通。「芽出度し」の言葉や、「年頭之祝辞」として力強い筆遣いで新年の祝いが書かれている。博士は翌57年に死去した。
4月にNHK連続テレビ小説「らんまん」の放送が始まり、5月には2人の交流が番組で取り上げられた。戸田さんは「以前はお客さんに『鷗外が通っていた薬局』と言われたけど、今は『(主人公の槙野)万太郎と縁があるお店ですね』と言われます」と笑顔で話した。(浜崎達朗)