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2023.06.27 08:00

小社会 変わらない

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 発泡スチロールのカップ麺容器を深海に沈め、再び引き揚げる。20年ほど前、そんな実験に立ち会った。水深ははっきりとは覚えていないが、少なくとも800メートルはあったように思う。

 引き揚げられた容器は形こそ保っていたが、ぎゅっと圧縮され、指でつまめるほど小さくなっていた。一緒に沈めた金属製のコップも変形。水圧の威力に身がすくんだのを覚えている。

 それもそのはずで、海では水深10メートルごとに水圧が1気圧増す。800メートルでは1平方メートル当たり約800トンの重さが加わる計算になるという。これが2千メートル、3千メートルの深さともなれば…。

 カナダ東部沖で起きた潜水艇事故は最悪の結果となった。深海の水圧で破壊されたと判断された。乗っていた5人の生存も絶望的という。1912年に沈没した豪華客船タイタニック号の残骸を見るツアーの最中だった。

 しかもタイタニック号事故と類似すると指摘しているのが、映画「タイタニック」の監督ジェームズ・キャメロンさんだ。どちらも「周囲の警告を聞き入れなかった」。タイタニック号は視界不良の中、航海を強行し、氷山にぶつかった。完成時は「不沈船」と呼ばれていたのに。

 潜水艇も以前から耐圧性が疑問視されていたようだ。人間の愚かさは100年やそこらでは変わらないのか。昨年、北海道の知床半島沖で起きた遊覧船事故も思い起こす。犠牲になる人も変わらず、事情を知らない善良な乗客である。

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