2024年 05月05日(日)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

2023.06.26 08:00

小社会 裏切り

SHARE

 黒い外観から「烏城」の愛称がある岡山城をこの春、訪ねた。昨秋までに大改修。刷新された展示パネルで、日本史では「裏切り」「寝返り」の代名詞のようにいわれる小早川秀秋がわずか2年ほど城主だったと知った。

 関ケ原の戦いで西軍を裏切った秀秋は、21歳の若さで死去した。死因には奇怪な伝説が多いという。一つは、急襲され「人面獣心なり。三年の間にたたりをなさん」と恨んで自害した西軍の武将、大谷吉継にのろい殺されたという説。

 このほか「殺生禁止の川で魚を捕って落馬」、果ては「農民に急所を蹴りつぶされた」という気の毒な説も。有力な死因は大量の飲酒による病気らしいが、俗説は後世に伝わった裏切りの悪評が響いているのかもしれない。

 ここ数日、テレビから「裏切り」の声が聞こえてきた。ウクライナ侵攻を続けるロシアで、創設者プリゴジン氏が率いる民間軍事会社ワグネルが蜂起。プーチン大統領は「裏切りと反逆に直面した」と指弾した。

 プリゴジン氏はその後、進軍停止を表明。いまは戦争の早期終結に関わるような動きには見えない。ただ、ワグネルは中東やアフリカにも雇い兵を送り、政権の利益に沿ってきた「子飼い」だ。プーチン氏の威信は揺らぐのかどうか。

 侵略戦争が長引く。2度の大戦の惨禍を経て戦争の違法化を進めた国際社会への裏切り、後世の悪評。独裁者にはどちらも自覚してほしいものだが。

高知のニュース 小社会

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月