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2023.06.26 08:00

【男女格差125位】是正へ実効性ある対策を

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 目に見える形で各国の格差是正が進む中、変われない日本が世界の潮流から取り残されている。「女性活躍」が叫ばれて久しいものの、実効性のある取り組みが不十分なことは現状を見れば明らかだ。
 男女の平等度を順位付けした「男女格差(ジェンダー・ギャップ)報告」で、日本は調査対象146カ国中、過去最低の125位に沈んだ。先進7カ国(G7)、東アジア・太平洋地域で最下位だった。社会変革の必要性を改めて突きつけられている。
 スイスのシンクタンク「世界経済フォーラム(WEF)」が発表。政治、経済、教育、健康の4分野で平等達成度を指数化した。
 1に近いほど男女平等の状態を示す指数で、日本の総合評価は0・647だった。公表が始まった2006年当時、日本と同水準だったフランスやイタリアは右肩上がりで改善し、ほぼ横ばいの日本は水をあけられた格好だ。
 日本は教育、健康分野で平等に近い水準にある一方、政治、経済分野が低迷。課題ははっきりしているが、是正は遅々として進まない。
 経済分野は指数が0・561。女性管理職の少なさや所得格差が要因だった。女性役員比率は15・5%で、日本を除いたG7の平均38・8%、経済協力開発機構(OECD)の平均29・6%を大きく下回る。
 政府は「女性版骨太の方針2023」で、東京証券取引所の「プライム市場」上場企業に関し、役員の女性比率を30年までに30%以上とする目標を掲げる。世界的に投資判断の基準として、企業の多様性を重視する流れが強まる。従業員300人超の企業に23年度から、男女間賃金差の開示が義務付けられたが、こうした対応を積み重ね着実に意識を変えていく必要がある。
 政治分野の格差はさらに深刻だ。指数は0・057で評価は極めて低い。女性閣僚は2人だけで、女性首相がまだ誕生していないことが大きく響いた。衆院議員のうち女性は10・3%。女性が初めて参政権を行使した1946年衆院選の8・4%からわずかしか増えていない。
 専門家は変化に乏しい要因として、各政党が候補者の選定で現職を優先する傾向などを指摘する。確かに漫然と変革を呼び掛けるだけでは変化は望めまい。
 自民党は所属国会議員の女性割合を30%とする目標を掲げたが、達成期間は「今後10年間」とし、本気度には疑問符がつく。海外では、候補者や議席の一定数を女性に充てる「クオータ制」などで是正につなげた例がある。日本も現実的な対策を検討するべきだろう。
 だが、政府や国会で多様性を尊重する意識が高まっているとは言いがたい。先の通常国会でLGBT理解増進法は成立したものの、かえって同性婚など具体的な権利擁護への道が遠いことを印象づけた。民主主義国にとって、人権の尊重や平等な社会づくりは根源的なテーマだ。さまざまな価値観はあるにしても、その原点に立ち返る必要がある。

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