2023.06.21 08:32
希少植物自生地にあずまや 牧野博士の足跡紹介 四万十町遠山地区
遠山地区に新設されたあずまやに集う植物観察会の参加者(写真はいずれも四万十町数神)
多様な自生植物を観察する参加者
あずまやで行われた座学。牧野博士の足跡も紹介された
遠山は森林や湿地のある約9ヘクタールに、県の絶滅危惧種21種を含む473種が自生(2010年調査)。県内で唯一確認されている種もあり、「遠山を守る会」が県立牧野植物園の助言を得ながら保護に努めている。
同園によると、牧野博士は東京大学植物学教室に出入りを許された20代前半を中心に複数回、同町を訪れ、窪川地域や大正地域を探索。同町平串で採集した標本から、国と県の絶滅危惧種のイヌセンブリやミズヒキモなどを命名した記録が残る。同町興津や志和にも赴いた記録から途中にある遠山地区周辺にも立ち寄ったとみられ、同町仁井田には博士が宿泊したとされる朝霧旅館(旧称・旅籠(はたご)寿美屋、1991年ごろ閉業)もある。
17日の観察会には、町内外の30人が参加した。朝ドラ効果か、初めて参加した人も多く、花が見頃のカキランやスズサイコなどを観察。町産のスギ、ヒノキを使い、町が県の補助を受けて建てたあずまや(建築費619万円)で博士と同町とのゆかりも学び、好評だった。
ガイドを務めた守る会の武田茂男さん(73)は「ボランティアが10人しかいないため観察会の回数は増やせないが、今後も博士の足跡を紹介していきたい」と話している。
旅館見学希望など問い合わせは町観光協会(0880・29・6004)へ。(小林司)