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2023.06.16 08:00

【高野氏の暴行】国会議員の資質問われる

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 自民党の高野光二郎参院議員(徳島・高知選挙区、2期)が昨年末、私設秘書を暴行し、鼻から出血させていたことが分かった。秘書は退職した。
 国会議員の言動には常に高いコンプライアンス(法令順守)や品位が求められている。それは国会の中であろうと、外であろうと変わらないはずだ。弱い立場の者に暴行を加えるのは許されない。
 自民党高知県連は除名や離党勧告を念頭に、党本部に厳正な処分を申し入れる方針を決定した。高野氏本人はもちろん、自民党もさらに事実関係と責任を明らかにしていく必要がある。
 取材に応じた高野氏によると、暴行は昨年末、高知市内の居酒屋で起きた。20代の秘書3人と事務所方針などを話し合う中で、左隣に座っていた秘書に手を上げたという。
 高野氏は「秘書に気合を入れる意図で左手の甲で胸の辺りをたたくつもりが、鼻に当たって血が出てしまった」などと説明している。
 被害を受けた当人とは主張に食い違いもあるが、高野氏の行為は顔を狙ったものではなくても問題がある。自民党県連幹部は「鼻血が出るほどの勢いで胸をたたこうとしたこと自体が暴力行為」とする。その通りである。
 仮に胸をたたき、出血がなかったとしてもパワーハラスメントに当たる。厚生労働省の分類では、上司が部下を蹴ったり、殴ったりするのはもちろん、威圧的に相手の胸に書類を押しつけたり、机をたたいたりするのもパワハラとする。
 社会のハラスメント防止に向け、数々の法令や政策を論議してきた国会議員が、それを知らなかったでは済まされない。
 まして秘書は暴行の約1カ月後に退職している。暴行と退職の因果関係について高野氏は「それでモチベーションが下がったのは大きなことだと思う」と認めたが、認識が甘いと言わざるを得ない。
 自民党では数年前にも、所属国会議員が秘書に暴行や暴言を繰り返し、離党を余儀なくされた例が複数あった。議員と秘書の関係のあり方が問われていたさなかの、新たな暴行事案である。
 犯罪やハラスメントのない社会を先頭に立ってつくるのが国会議員ではないかと、改めて問いたい。
 高野氏は事務所を巡るトラブルが相次いでいる。2013年に選挙用の会計帳簿を作っていなかった問題が発覚。その後も、東京後援会長が県内の講演会で焼き肉のたれを配ったり、元秘書が政治団体の領収書を紛失したりした。
 ことし1月には公設秘書が酒気帯び運転で高知県警に摘発されたばかりだ。高野氏は「秘書がやったことは私の責任だ」と謝罪したが、これより前に高野氏自身が暴行のトラブルを起こしていたことになる。
 国会議員としての資質が問われる事態である。もはや党の責任と言ってもよい。自民党本部、県連とも毅然(きぜん)とした対応が求められる。

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