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2023.06.10 08:00

小社会 水攻め

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 「備中高松城の戦い」は、難攻不落といわれた毛利氏配下の城を羽柴(豊臣)秀吉が水攻めで陥落させた戦いとして知られる。時は1582年、ちょうど梅雨の頃だったという。

 昨年、その様子を岡山市のおかやま観光コンベンション協会が仮想現実(VR)で再現し、話題になった。秀吉は城の周りに堤を築き、その内側に足守川の水を流し込んで城を水没させた。

 作戦のさなかに京都では「本能寺の変」が発生。VRの関連動画は秀吉が「天下人になっていく大きな転機となった戦い」だったと解説している。昔から治水も含め、水を制する者は天下を制したということだろう。

 もちろん現代では、どんな実力者であれ、水攻めなど許されない。ロシアの軍事侵攻が続くウクライナ南部ヘルソン州で発生した巨大ダムの決壊。ダム湖は琵琶湖の3倍以上の広さがあるというから、水の流出量は想像を絶する。

 町は濁流にのまれ、死者も出ている。ウクライナ側だけでなく、ロシアが実効支配するクリミアの被害も大きいようだ。誰かが意図的に破壊したのだとしたら、そこにどんな大義名分があろうと正義はあるまい。

 ダムの水が失われれば、飲料水や農業用水にも深刻な影響が及ぶ。時代や国は違っても、勝つためには手段を選ばないのが戦争。常識や良識は通用しないと改めて感じさせられる。それでも、水攻めをする人を決して天下人にしてはならない。

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