「台所のマリアさま」

2023.06.16 05:00

「台所のマリアさま」

高知新聞社

あの人に喜んでもらいたい
　マルタは、いつも台所(だいどころ)にいてくれるだけで安心(あんしん)できるお手伝(てつだ)いさん。少年(しょうねん)グレゴリーは、マルタの「ここにはいい場所(ばしょ)がない」と、さびしそうな顔(かお)がいやだった。マルタは生(う)まれ故郷(こきょう)のウクライナの「金色(こんじき)のマリア様(さま)の絵(え)」があった台所(だいどころ)が、一番(いちばん)幸(しあわ)せな場所(ばしょ)だと泣(な)いた。難民(なんみん)としてロンドンに逃(に)げて来(き)たマルタに、グレゴリーはマリア様(さま)の絵(え)をプレゼントしようと思(おも)いつく。

　大英博物館(だいえいはくぶつかん)、宝石(ほうせき)店(てん)に実物(じつぶつ)のマリアの絵(え)を見(み)に行(い)き、妹(いもうと)と絵(え)</rpを作る材料(ざいりょう)を少(すこ)しずつ集(あつ)め、土台(どだい)から作(つく)り始(はじ)めた。足(た)りないものは自分(じぶん)たちのおもちゃや絵(え)も使(つか)った。それでも美(うつく)しい布(ぬの)が足(た)りない。それは勇気(ゆうき)をだして帽子屋(ぼうしや)さんにもらいに行(い)くことにする。

　内気(うちき)なグレゴリーは、いろんな人(ひと)の力(ちから)を借(か)り、絵(え)が仕上(しあ)がっていくにつれて変(か)わり始(はじ)める。今(いま)、グレゴリーのような子(こ)どもが世界(せかい)中(じゅう)にいてくれますように。（ＮＰＯ法人(ほうじん)高知(こうち)こどもの図書館(としょかん)　村井()由岐子()）

「台所のマリアさま」　ルーマー・ゴッデン／作　猪熊葉子／訳　Ⅽ・パーカー／絵　評論社　小学校高学年以上

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