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2023.05.30 08:00

【四国梅雨入り】改めて災害への備えを

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 高知県地方は本格的な雨のシーズンに入った。高松地方気象台はきのう、四国地方が梅雨入りしたとみられると発表した。
 今季は、まだ5月にもかかわらず大型で非常に強い台風2号が沖縄地方に接近しており、本州方面に向かう進路が予想されている。5月の台風としては過去最大級であり、湿った空気が前線に流れ込んで雨量が増える恐れもある。
 早速、警戒が求められる状況である。ハザードマップや避難経路・場所、自宅の食料備蓄をあらかじめ確かめたり、気象情報に注意を払ったりするなど、雨への心構えを新たにしたい。
 行政側も、非常時に的確な判断を下せるようシミュレーションを重ねるなど備えを強める必要がある。避難情報を巡り、「避難勧告」と「指示」を「指示」に一本化するなど発信方法を変えたのは2年前で、十分に浸透しているとは言えまい。住民への周知、啓発が求められる。
 梅雨と重なる6、7月は、全国各地で大雨による洪水、土砂崩れなどの自然災害が増える。
 近年では、中四国を中心に200人以上が亡くなった西日本豪雨が2018年にあった。このときは高知県内でも3人が犠牲になったほか、大豊町の高知自動車道の立川橋が崩落し、物流や観光などにも大きな影響が出た。
 さらに20年には、熊本県の球磨川が氾濫するなど、九州を中心に甚大な被害が出た豪雨が発生。翌21年には、静岡県熱海市で大雨による大規模な土石流災害があり、関連死を含めて28人が亡くなった。
 地球温暖化による気候変動も影響し、雨の降り方は予断を許さなくなっている。その多くの場合、原因になっているのが線状降水帯だ。
 線状降水帯は、発達した積乱雲が次々と発生して線状に連なる降水域で、気象庁は観測・予想態勢の強化に努めてきた。21年には、発生時に「顕著な大雨に関する気象情報」を発表し始め、22年6月からは、早期の避難につなげるため「半日前予報」もスタートしている。
 さらに今月25日には、「顕著な大雨情報」の基準を改め、予想に基づいて最大で30分早く発生を発表する運用を始めた。26年からは2~3時間前の発表も目指すという。
 非常時に命を守ることができるかどうかは、わずかな時間の行動で決まることがある。その意味では重要なステップだ。情報を有効に生かすための運用が、市町村側に求められる。
 ただ昨年から行う半日前予報は、計13回の発生予報のうち実際に発生したのは3回で、発生事例11回のうち8回は予報できなかった。「空振り」を恐れるべきではないが、精度が低くなりすぎると予報の効果も半減する。着実な改善を求めたい。
 西日本豪雨から5年。本県も豪雨災害の常襲県であり、安心感や油断が非常時の被害の拡大につながる。改めて被災経験と教訓を見つめ直したい。

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