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2023.05.28 08:00

小社会 誤答

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 かつて本社の入社試験に「プラハ演説」とは何か簡潔に記せ―という設問があった。バラク・オバマ氏が「核なき世界」を訴えてノーベル平和賞につながった演説。「プラカードを持って行進しながら演説すること」という苦肉の珍答に、妙に和んだ。

 しかし、これには笑えなかった。広島に原爆が投下された日を問う設問に「1936年8月6日」という誤答があって、息が止まった。そうか、もう「1945」すら認知しない世代になってきているのか、と。

 職場には少し日が遅れて全国の新聞が郵送で届く。このところ、広島・中国新聞の各ページに時間を止められる。

 サミット直前の特集紙面に、きのこ雲の下で死んだ子どもたちの生前の写真が並んでいた。水遊びに笑顔の男の子、ちょっとお澄ましした女の子。別の日には、胎内で被爆し、知的障害を負った原爆小頭症の男性の姿も。連日、海外プレス向けの訳文も出していた。

 広島カープをどこより応援するこの新聞は、読者と一緒に、おそらく世界のどの新聞よりも核兵器の問題と向き合ってきた。先の21日、そこに大きく「落胆」の見出しが出た。G7は「核なき世界」をうたいはしたが、核廃絶の具体的工程は示さず、核抑止論を是認したまま。それは「受け入れがたい」「期待外れ」だと。

 各国トップがヒロシマで提出したリポート。総理の地元で暮らす多くの人と新聞は、「誤答」の×印をつけた。

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