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高知新聞PLUSの活用法

2023.05.26 08:00

小社会 公明正大に

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 誰だって取られる税金は少ないに越したことはない。文豪、夏目漱石は40歳のころ大学の教師を辞めて新聞社に入社。主筆よりも高い俸給を得て、所得税をごまかそうとたくらんだ節がある。

 入社後すぐに、同僚の記者に節税の工夫を相談している。当然ながら、この同僚は「公明正大に納税せよ」と一喝。しゅんとなった漱石は、わび状を書いている。

 〈教師として充分正直に所得税を払ったから 当分所得税の休養を仕(つかまつ)るか…繁劇なる払い方を遠慮する積(つも)りでありました〉(中川越著「すごい言い訳!」)。休養とか遠慮とか、さすがに表現は文学的だ。ただ、あまり通りそうな理屈ではない。

 このところ国会周辺では近い将来、国民が取られるお金が増える話が目立つ。増税を前提にしていると野党が反対する中、防衛費増額の財源を確保する法案が衆院を通過。子ども予算の倍増でも、政府は社会保険料への上乗せを検討している。物価高騰に苦しむ庶民は、何とも気が重くなる。

 こうなると、思い出す「宿題」が一つ。国会議員に月100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧・文通費)の見直し論議だ。使い道の公開などについて、自民党が実質的な収入減少につながると及び腰だという。この1年半、本質的な改革は遅々として進まない。

 また、世間はいつか忘れるさ、という目算だろうか。庶民に痛みを強いるのであれば、なおさら「公明正大」であれ。

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