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2023.05.24 08:00

小社会 中国の深謀遠慮

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 戦争は国家の大事であり、国民の死活や、国家の存亡がかかっている。よくよく考えなければならない―。「孫子」はそう戒めている。歴史上最も有名な兵法書が、である。

 戦術を論じつつも、戦争に発展するまでの国家運営や外交の在り方に相当の分量を割く。それだけ戦争の害悪が身に染みていたのではないか。客観的分析や情報の重要さを強調する姿勢は、今のビジネスにも十分参考になりそうだ。

 だから、なのだろう。注釈を自らつけた三国志の曹操、軍旗に「風林火山」を引用した戦国武将の武田信玄から、現代の著名な経営者まで愛読者は幅広い。近年もビジネス書などの関連書籍の出版が後を絶たない。

 考えてみれば、孫子をはじめとする数々の兵法書や史書の研究を2千年以上積み重ね、大陸の厳しい生存競争を生き抜いた人々の子孫だ。堂に入った深謀遠慮ぶりは当然かもしれない。中国が中央アジア5カ国と首脳会議を開いた。

 開催はG7広島サミットの直前だった。G7をにらみ、かつてロシアの庭先だった国々への影響力を誇示。自国への依存を強めるロシアが文句を言えないとふんだ上でだろう。何鳥も狙った一石だったに違いない。

 隣国の軍事的脅威にばかり目を奪われれば大局を見失いかねない。孫子は「百戦百勝は善の善なるものにあらず」とも。戦わずに勝つことを最上の策とする。したたかな外交には一段上のしたたかさで備えたい。

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