2023.05.23 08:00
小社会 女子卓球の決闘
体育館の中ほどに仕切り板が集められ、リングのように囲われた。卓球台が2台。シングルス2人が同時に戦いを始めた。明徳2人は攻撃型。高速スマッシュを打ち込む。土佐女の2人はカットマン。前に後ろに動き、これでもかこれでもか、もう冗談だろうというほどに、あきらめず球を拾う。
カットマンはラケットを上から下に振る。台から離れた遠くで、床に当たるまでラケットを振り下ろし、執念で返した。
一球ごとの歓喜、応援。サーブを放つ静寂。高速打楽器のような球音。振り返ってかざす選手の両腕。「親の敵か」「戦国時代の果たし合いか」とも思う大迫力の攻防。
県高校体育大会がきのう閉幕した。勝った喜びもさることながら、敗れて部活動を終えた涙があると、見てほろりとなる。あちこちの会場で、選手と先生、家族、関係者の「今日で最後」「ありがとうございました」といった涙交じりの会話が聞こえた。
土佐女の悲願はならなかったが、追う身、追われる身の応酬は手に汗を握らせた。すばらしい、見事な決闘を見た。どちらの選手も涙をぬぐい、荷を背負い、会場を去る。次の舞台を目指し、また帰って練習するのだろう。いまを戦う姿が、まぶしい。