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2023.05.18 08:00

【G7サミット】広島開催の意義示したい

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 先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)があす、開幕する。核軍縮へのメッセージをどう発信するか、戦争被爆地、広島での開催で注目される。ウクライナ支援のほか、エネルギーや食料の安定供給といった課題も議論される。
 日本での開催は2016年の伊勢志摩サミット以来となる。ロシアのウクライナ侵攻は長期化し、中国は覇権主義的な動きをさらに強める。従来の国際秩序は揺らぎ、分断もあらわになっている。G7として広島開催の意義をかみしめ、結束した対応を打ち出したい。
 各国首脳が広島に集い、被爆の実情に触れる意味は大きい。だが、現状は「核兵器なき世界」の理想にむしろ逆行しているようにみえる。
 ロシアは核兵器の使用をちらつかせ、国際社会を威嚇。米国との核軍縮合意、新戦略兵器削減条約(新START)の履行停止を表明した。こうした動きに、核兵器による抑止力論があらためて認識される状況に陥っている。
 岸田文雄首相は、自ら提唱する行動計画「ヒロシマ・アクション・プラン」を中心に議論を進め、核兵器の不使用継続や保有国の透明性確保で合意を図る考えのようだ。G7には米英仏と核保有国が含まれ、日本も米国と抑止力強化を進めている。このジレンマを抱えつつ、核廃絶へのアピールにどう説得力を持たせるのか。
 核廃絶への道筋としても、核戦力を増強する中ロの脅威に対し「武力での一方的な現状変更は許さない」姿勢を強く打ち出す必要がある。
 ウクライナ危機では対ロ経済制裁で協調するが、戦闘の長期化で欧州には支援疲れもみえる。G7各国による支援はウクライナの命綱といってよい。支援の持続で足並みをそろえ、ロシアへの圧力を強めたい。
 日本の安全保障環境を揺るがす中国や北朝鮮への対応も焦点になる。特に、中国との関係ではG7にも温度差が否めない。地理的に遠い独仏は中国の巨大市場をにらみ、経済メリットを優先する動きもみせる。欧州各国の関心を引きつけ、G7内で危機感をあらためて共有することが重要になる。
 安全保障以外にも課題は多い。欧米の足元では金融不安が広がりつつある。ウクライナ侵攻はエネルギーや食料の供給不安を招き、価格高騰につながった。経済安保を理由に自由貿易体制がゆがめば、将来にわたる影響は拡大する恐れもある。
 広島サミットにはG7以外の国や国際機関も参加し、拡大会合が開かれる。地球温暖化対策など多くの課題で、「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国との協力が欠かせない時代だ。その信頼を得られるようG7が率先して対応する姿勢を示せなければ、影響力はさらに低下しかねない。
 議長国の責任もより重くなっているものの、地球温暖化やLGBTなど性的少数者への対応では消極的な姿勢も目立つ。世界の潮流を見据えることが重要だ。

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